光を求めて...


タタタッ...!!

俺が木の下で座って空を眺めていたら足音が聞こえた。

雨に打たれながら走る人何ているんだ...


と一人感心した。

「…あ!!いた!!謎の美少年!!」

俺の前には真っ赤な傘を差した女の子がいた。

「…駄菓子屋の…」

女の子は駄菓子屋のおっちゃんをお父さんと呼んだ子だった。

「あたし黒瀬ユイ。よろしくね!!謎の美少年!!」

ユイとかいうやつは俺のことを美少年と呼んだ。

まぁ悪くないけど一応名前を教えとくか。

そう思い俺は自己紹介を始めた。

「…俺は高野荘司って言う。呼び方はごかってに。」

俺はユイの瞳を見ながら言った。

「…荘司ねっ!!あたし高二!!荘司は??」

傘を閉じ俺の隣に座ってユイは肩についた雨の雫をタオルで拭き取りながら言った。


「…俺は医学生1年生。」

俺は冷めた瞳で言った。

「…荘司…泊まる宛てないんでしょ??おっとうが言ってた。」

ユイは元気いっぱいの声で言った。

「…ないよ。」

「…こっちに何日間いるの??」

ユイは俺の顔を覗きながら言った。

「…夏休み中ずっといるよ。帰ったって…いいこと何か一つもない。」

俺が俯きながら言うとユイは俺を抱きしめた。

「…ユイ??」

ユイの俺を抱きしめていた手が震えていた。

「…荘司…背中が寂しいって悲鳴あげてる…自分を攻めないで…」

ユイは涙声で言った。
< 21 / 45 >

この作品をシェア

pagetop