恋する夏は微炭酸。 -2010年夏休み短編-




「宮崎コーチ、本当にありがとうございました」




美紀が大きな声でそう言って、色紙を渡した。





「ありがとう。高校になってもテニス続けろよ。試合には絶対に行くから!!」





涙ぐみそうな鉄平の顔が愛しくて愛しくて、また泣きそうになる。





「じゃ、お疲れ様でした!!」




礼をする。






いつものように、ボールの入ったかごを持って、鉄平は歩き出す。





終わった。



終わってしまった。








「鉄平ちゃん!!!」




大声を出したのは、敦子だった。




私以外の部員みんなが集まって、鉄平を引っ張る。





「凛から鉄平ちゃんに話があります!!」






みんなが私を見た。


鉄平も目を丸くして私を見ていた。








今しかない。


今しか・・・・・・ない。







< 89 / 104 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop