好きなもんは好き<短>
朝、校門で天君を待つ。
しかも隠れて。
いつも教室に行ってるから驚かせてやろうと思って。
うふふー。
天君まっだかなまだかなぁ。
『でさぁ――』
ピコーンッッ!
この声は天君だ!
そーっと覗くと、楽しそうに友達と通学する天君。
きたきたぁっ。
心臓が少し音をたてる。
「てっ―――」
『――花高さぁ』
もうそろそろいいかなって思って、出ていこうと思ったら、天君の隣にいた友達が私の名前を口にした。
何事か、と、思わず体を引っ込める。
そして、聞き耳をたてる。
『どうなの?お前超好かれてんじゃん』
『あぁ…』
天君なんて言うの…?
予想外の展開に体が強ばる。
天君の唇から零れた言葉は、
『――流石に迷惑』
耳を塞ぎたくなる言葉だった。
強ばっていた力が全部抜けた気がした。
『でも――――――――よ』
次に天君が言った言葉は私の耳には届ない。