愛音-あいおと・短編
意味
僕の両親と早紀はグルだったようで、式の日取りまで全て決まっていた。

そうなったら良平はすでにまな板の鯉となり、意志も要望も無かった。

「お前に相談したって、好きにしてって言うだろ、だから早紀ちゃんにな相談されて、母さんと三人で相談してたんだ。」

「ああ〜、好きにしてくれ・・・」
「ほら〜っ!」

半ばふてくされてる良平を除いて、みんなの笑い声が狭い部屋に響いた。

本当は良平は昔ながらのいわゆる結婚式は挙げたくなく、2人っきりの教会でとか思っていたが、良平の両親が地元の名士という事もあり、渋々承諾した。

式は淡々と進み、実家の近所のおじさん達や懐かしい顔が沢山あった。

そのどれもこれもが楽しそうに笑っていて、そんな笑顔を見て良平は"結婚式っていいな"と感じていた。

そして、隣で真っ白なドレスに身を包み涙ぐんでいる早紀を見つめながら、

「結婚式って、本当の大人として社会にでる事をみんなに認めてもらう挨拶なのか」

と漠然と感じていた。
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