Genius~守り人~
來の頬に草火の手が添えられる。

「…來…あなたには言わなきゃね………ホントのあなたを……」

「…ホントの私…?」

「…あなたは…火乃來なんかでは…ないわ…
あなたは…來奈…風火來奈なの…」


「…風火來奈…」


パチンッ


頭の中で何かがはじけた


そして浮かんでくる映像



懐かしい記憶




哀哭溜に入る前

故郷の村での記憶






数メートル前を歩く二人の人



縦巻き風の深緑の髪のヒト

そして何度も夢の中で自分の手を引いて走ったヒト






『待ってー!』

そう言うと二人は立ち止まりこちらを向いてくれた。

そしていつもの笑顔を浮かべて自分を呼ぶ

『早くいらっしゃい。
來奈。』

姉も笑って名前を呼んでくれる。



― 草火さんの妹みたいな存在は私だった…






そして記憶の中で彼女をこう呼んだ。




『草姉♪秋姉♪』





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