Genius~守り人~


…ここ……どこ………?




背中に受け衝撃が消え失せ、そっと目を開けた來奈の瞳には一面乳白色の空間が映った。



どこまでも続き空間の果ても分からない

自分以外の存在を感じる事は出来ない。








ふと、後方に僅かながら自分以外の気配が現れた。


振り返るとそこには遠くから近づいて来る一つの影


近づく度に様子が明確になっていく

背中辺りには大きな翼



いつも夢に出てきたあの影だ


赤い衣を纏い結い上げた長い紅の髪を靡かせ歩いてくる






「…朱雀…?」


呼び掛けてみる



影の脚が止まる



そして最後まで掛かっていた顔の影も消え失せ、その下から優しい笑みが現れた。


女性らしいというより男性らしい笑顔








來奈は彼女を見上げた。



― …似ている……?

まず思った事がそれだった。




『当たり前だ。』


來奈の心を見透かしたようなアルトの声が響く。



『オレはお前自身だから。』







< 179 / 233 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop