Genius~守り人~
…ここ……どこ………?
背中に受け衝撃が消え失せ、そっと目を開けた來奈の瞳には一面乳白色の空間が映った。
どこまでも続き空間の果ても分からない
自分以外の存在を感じる事は出来ない。
ふと、後方に僅かながら自分以外の気配が現れた。
振り返るとそこには遠くから近づいて来る一つの影
近づく度に様子が明確になっていく
背中辺りには大きな翼
いつも夢に出てきたあの影だ
赤い衣を纏い結い上げた長い紅の髪を靡かせ歩いてくる
「…朱雀…?」
呼び掛けてみる
影の脚が止まる
そして最後まで掛かっていた顔の影も消え失せ、その下から優しい笑みが現れた。
女性らしいというより男性らしい笑顔
來奈は彼女を見上げた。
― …似ている……?
まず思った事がそれだった。
『当たり前だ。』
來奈の心を見透かしたようなアルトの声が響く。
『オレはお前自身だから。』