Genius~守り人~
「―!」
その時來奈の耳に届いた一つの声
「來奈!」
優しい……
懐かしい……
女性の声……
オレはこの声の主を知っている……
しゃがみ込んだ護の後ろに見える一人のヒト
そのヒトは護を通り越し來奈を抱き締めた。
「來奈……來奈よね………?」
くぐもった声で問いかける。
耳元で聞こえる懐かしい声
身体全体で感じる懐かしい温もり
あの夢の中で自分の手を引き逃げていたヒト
目の前で逝ってしまったはずのヒトがここにいる……
「……秋姉………?」
頭が微かに動かされる
「本当に……秋姉………?」
「來奈………」
温かい肩が更に熱くなる
生きていた……
生きていた……
自然と涙が溢れてくる。
久し振りに流れた涙
良かった…………………良かった…………