Genius~守り人~









「―!」








その時來奈の耳に届いた一つの声







「來奈!」







優しい……

懐かしい……

女性の声……

オレはこの声の主を知っている……







しゃがみ込んだ護の後ろに見える一人のヒト








そのヒトは護を通り越し來奈を抱き締めた。







「來奈……來奈よね………?」



くぐもった声で問いかける。






耳元で聞こえる懐かしい声


身体全体で感じる懐かしい温もり







あの夢の中で自分の手を引き逃げていたヒト






目の前で逝ってしまったはずのヒトがここにいる……












「……秋姉………?」





頭が微かに動かされる








「本当に……秋姉………?」









「來奈………」









温かい肩が更に熱くなる







生きていた……






生きていた……






自然と涙が溢れてくる。












久し振りに流れた涙










良かった…………………良かった…………













< 190 / 233 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop