恋、涙 …【2】〜私とあなたと小さな天使〜
「あはは…っ!かーくん、まだ早いって!!」
案の定。
風呂から上がってきた希は、おえかきをする茉央の横で名前を考えていた俺に指を差して笑った。
「いいじゃんか…な、茉央?」
ちょっと恥ずかしくなって茉央に同意を求めると、茉央は絵を描くのを止めて、こっちを向いた。
そして…
「茉央…?」
「ぱぱ、はやい!」
えぇ…?
「ほら〜。茉央だって早いって言ってるよ?」
まさかの展開に、俺は何も反論出来なくなった。
俺はその時初めて、茉央に裏切られた気がした。
「あ!!」
でも…
「…どうしたの?」
「ぱぱぁ〜?」
「希、茉央!俺、今いい名前思いついた!!」
決めた。
生まれてくる子供が女の子だったら、俺はその子にこの名前を与える…と。