秘密事は図書室で~甘い会長の罠~


「じゃ。また今度。」


「は、はい。ありがとうございます……」




きっと今、顔赤いだろうから

暗くてよかった。



先輩はフッと微笑むと、あたしの頭を撫でた。





「言い忘れてたけど…
浴衣、可愛いね。似合ってるよ。

……おやすみ。」




先輩はそう言ったかと思うと

小さく手を振り、歩いていってしまった。




……今、なんて?





あたしはただ、先輩の背中を見つめることしか出来なかった。


熱かった頬が、余計熱くなる。



きっとあたし、林檎飴みたいに真っ赤。




夏の暑さなんて気にならないくらいドキドキした

お祭りの夜だった。





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