秘密事は図書室で~甘い会長の罠~
なんで、そこで瀬那くんが出てくるのか
先輩の瞳が悲しげに光るのか
あたしには全然理解が出来なかった。
「……か、神崎せんぱ…」
「ふふっ、なんちゃって!!
橘がよかったとしても、足を怪我した中川さんを一人には出来ないよ。
教室まで我慢、ね?」
さっきまでの表情がウソのように、ニコニコと笑う先輩。
ものすごく恥ずかしいし、先輩が大変だろうけど……
この状況で断るなんて出来なくて、ゆっくりと首を縦に振った。
その瞬間、優しい瞳に戻った先輩が、またあたしを抱えて歩き出した。
ふんわりと香る爽やかで甘い匂いと、温かい手の感触に
足の先までドキドキしていた。
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