べガとアルタイルの軌跡
これで、ラスト。

私は最後の1本に火を点けられず、その花火を手にして、ジーっと見つめた。



これが消えたら、私の中にちらつく、君の残像も消さなきゃ。



「槙原くん、さようなら」



直接本人に言えなかった、別れの言葉を口にして、最後の花火に火を点けようとした。

その時。





「勝手に1人で『さようなら』とか、決めるんじゃねーよ」





……幻聴?



背後の方から、足音が聞こえて来た。

私はその足音の主を確認する為、ゆっくりと振り返った。



「なーに1人で淋しく、花火してんだよ」



Yシャツにネクタイ。

初めて見るその姿。



あれっ? なんで?



「なんだよ、『ただのバイト仲間』に再会しただけで、そんなにポロポロ泣くのかよ」



あぁ、この嫌味な口調は、間違い無い。

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