冷徹な傷
ここの病院は瞬林院が援助しているところだから、
たまに日本にいるときは訪れることがある。
その時に少し仲良くなったのが雪村。
その時彼は手術を受ける前だった。
彼は屋上の花を見ていた。
私が、
「花、好きなの?」
と聞くと、彼は振り向いて儚い笑顔で
「ああ、好きだよ」
と答えた。
その後、彼は私に向かって
「君、ここの病院ではあまり見ない顔だね。」
と言ってきた。
私は
「だって私は入院してないもの。」
「誰かのお見舞い?」
「いいえ、違うわ」
「じゃあどうして?」
「…花を、見にきたのよ」
「何故、ここの花のことを知ってるんだい?」
「私が買ったから」
「…もしかして…
君が、瞬林院…さん?」
「…ええ
桜華でいいわ」