センセイ


「平山?どうしたこんなとこで」


…っ!



呼ばれた声に振り返るだけで、すべての気持ちを読まれたみたいに恥ずかしい。

顔はどんどん熱を出して、呼吸は勝手に速くなって。

弱い瞳からは、無意識に涙がこぼれそうになって。



ドクン、ドクン

ドクン、ドクン



「…なにか、あったのか?」

「……」



首を振っただけじゃ、何も伝わらないんだと思う。

黙ってたって、わかってもらえないんだと思う。

でもセンセイは、いつもと変わらず、優しく笑ってくれるから。



「話したいことあるなら、聞くけど?」



そう言って、指先を物理室の方に向けるセンセイ。

ガラッと開く扉の音でさえ、私の身体から力を吸い取っていった。






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