センセイ




———以上で、二学期始業式を終わります。では各クラスごとに教室に入り、ホームルームを行ってください———




ねぇ…、センセイ。

あれから私、考えたんだけど。

センセイは私の気持ちに、本当は気付いてたんじゃないかって思うんだ。



「ちょっとー、駅まで行く人集まってぇ」

「白鳥先生の見送り行く人〜」



でもそれを誤魔化し続けたのは、センセイの優しさなのか、ズルさなのか。

それはわからないけど、私がセンセイにもらった暖かさは、この先ずっと私の胸に残ると思うよ。



「始業式終わった後のすぐの電車だって」

「えー!じゃあ急がないと間に合わないよ」

「早く早くっ」



忘れられない笑顔。

何度も頭の中で繰り返されたセンセイの声。

やっぱり好きだった。

大好きだった。



でもね、だからって私は、センセイのことを諦めたわけじゃないんだ。



「あ、平山さんも見送り行く?」

「え…、あ、ぅん」



だってこんなに大きな気持ち、簡単に消せるわけがないんだもん。



「みんなー、自転車早こぎぃ〜!」




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