センセイ




センセイの中には、わずかでも私の記憶が残るかな。

ちょっとでもいいから、たまに思い出したりしてくれるかな。



「うわっ、お前らここまで来てくれたわけ!?感動しちゃうなぁ」

「なーに言ってんの先生。当たり前じゃん!」

「そうそう」



みんなに囲まれたセンセイの姿を、相変わらず私は目立たない場所から眺めることしかできないけど。

センセイのその顔は、絶対に忘れないから。

もしかして私を探してくれてるのかもしれない、そのキョロキョロと周りを見渡す仕草も

絶対絶対、忘れないから。



だから、いつかもっと、私がちゃんとした女性になって。

子供くさい強がりも、言わなくなって。

自分の行動にも、自信が持てるようになったら。

センセイのところまで、会いに行ってもいいですか。



「ほら発車しちゃうよ!先生、早く乗って!」

「あ、あぁ…」

「もうっ、誰探してんの?なんか約束でもあるの?」

「いや、そうじゃないけど…。じゃあ、またな。また会えるまでみんな元気で」

「先生もねっ。バイバーイ!」



それまで私は、この夏の思い出を胸に

いろんなことを、頑張っていくから。



「センセイ…、ばいばい」




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