SMOKE&CANDY《短》
「頼夢。そろそろ頼夢の家に行こ。ここマジで暑すぎるから。俺、溶けそう」
突然立ち上がって、制服のシャツをバサバサと動かす來貴。
そのまま溶けてしまえ。
と、言いたい気持ちを抑えて。
「帰ることには賛成。だけど、私の家に来ることは許さない」
私も立ち上がり、スカートについているであろう木屑を払い落とす。
そしてその存在をすっかり忘れていた馬鹿みたいに重たい通学カバンを手に持った。
「誘ったのは頼夢だろ。それともお前は自分の言葉に責任を持てない人間なの?」
私を責めるような言葉と悲しげな表情。
公園の出入口に向かっていた來貴は振り返って、その二つを私に投げつけてきた。