SMOKE&CANDY《短》
……私がどんな表情に弱く、どんな言葉に強がってしまうかを來貴はよくわかっている。
だからこの言葉も私を責めるような表情も、全て來貴の作戦なんだってわかっている。
歪んでいる口元がそれを証明しているから。
だけど。作戦だってわかっているけど。
「責任くらいとれるわよ。勝手にすれば」
私はこういう性格なのだ。
公園を出て上機嫌に私の家に向かう來貴と、不機嫌丸出しで來貴の隣を歩く私。
本当にもう嫌だ。
意地っ張りな自分の性格も、意地の悪い來貴の性格も。
「あっそうだ。頼夢、煙草やめろよ」
不機嫌な私の顔を覗き込みながら、來貴はそんなことを真面目な顔で言う。
その“らしくなさ”にさっきまでとは違う意味で、眉間に力がはいった。