ワンラブ~犬系男子とツンデレ女子~
“―――ぎゅっ”
手が離れた瞬間、ワンがあたしを抱きしめた。
「オレ、稀衣ちゃんにだけモテてればいーや」
声がなんだか嬉しそうだ。
たとえ暗闇で見えなくても。
触れてれば大丈夫。
「稀衣ちゃん、なんかあったかい」
「お風呂、入ったから」
「…そっか!じゃ、湯冷めしちゃ大変だ!」
ワンは勢いよく体を離し、ドアノブに手をかける。
“―――ガチャガチャッ”
………が。
ドアはガチャガチャと音を立てるだけで、押しても引いても開かない。
「え、ちょ、なんで?!」
「え、鍵かけた?!」
「誰が?!」
「知らないけど!」
“―――ガチャガチャッ”
真っ暗な部屋に、ドアの音とあたしとワンの声だけが響く。