ワンラブ~犬系男子とツンデレ女子~



「待って!」



あたしの行動がよほど意外だったのか、ワンは振り向いて目をまるくしていた。



「話したい事があるから、ちょっと待って…、よ…っ?!」



あたしが言い終わらないうちに、ワンはあたしの体を自分の方へ引き寄せた。



?!?!



「え、ワン…?!」

「…なんでオレと顔合わせらんないの?」



あたしを抱きしめながら、少し怒ったような拗ねたような声で、呟くように言うワン。



「なんでいつもアイツと一緒にいんの?」



今まで黙ってたのを、全部全部、吐き出すように。



「なんで全部、1人で解決しようとすんだよ」



いつも先を行く光りを見失わないように。



眩しくても、目を逸らさないように。



先へ先へ、焦っていた。



君が立ち止まって、手を差し伸べてくれてる事に気付かずに。


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