ワンラブ~犬系男子とツンデレ女子~



なんでこうなったんだろう?



あたしが安藤のこと黙ってたから?



ワンのお見舞いに行かなかったから?



それとも、最近まともに会ってなかったから?



「…じゃ、またね」



分かれ道の手前で立ち止まり、あたしはワンに言った。



ワンも、「ウン」とだけ言って歩いてく。



本当は、このまま別れちゃいけない。



そんなこと分かってるくせに、言葉が喉で詰まってしまう。



ワンの背中が離れていく。



それでもワンが振り向いてくれるのを、あたしはまだ期待してる。



ほんっと、こんな臆病な自分が嫌い。



けどワンといれば、こんな自分でもいいんだって思わせてくれたから。



その光りで導いてくれたから。



あたしはいつも、甘えてばかりだ。



でも、だめ。



光りの導く方へ、ただ進むだけなんてもうやめる。



「ワン…!」



背を向けて歩いていくワンを追いかけ、腕を強く引っ張った。



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