ワンラブ~犬系男子とツンデレ女子~



「マコは絶対、探してる」



正直あたしも、そう思う。



「ワンにだけじゃなくて、あたしにも探せって言いたいの?」



片足裸足で?



ケンケンでもして?



「そーじゃなくて。ただ…」



そこまで言って言葉を切ると、佐倉はあたしの顔を見つめた。



「鮎沢は、すぐ諦めるよな」



………。



諦める?



「マコは、自分の思い通りになるまでは諦めないだろ」



確かに、そうかもしれないけど。



ワンはそういう人だ。



「反対に鮎沢は、自分の中でダメだと判断したら、もう何もせずに諦めてる」



佐倉は再びあたしに背を向ける。



遠くでは、今だ花火の打ち上がる音が響いていた。



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