ワンラブ~犬系男子とツンデレ女子~
「花火見ないの?」
「そーいう自分は?わざわざ来たんじゃないの?」
バイトあがりにわざわざ来たのは、花火を見るためのはずなのに。
「いや俺、1人で花火見上げられるほど、メンタル強くないんだわ」
「…あっそう」
なら早く麗奈たちと合流すればいいのに。
屋台が目的?
それなら他人(ワン)のこと言えないでしょ。
「鮎沢ちゃんは、マコと見たいんだろ?」
佐倉に心を読まれてしまったことに、驚いた。
けど、思い返してみればいつもそうだった。
佐倉だけは、決まって見抜いてる。
「うん、そうだね」
「探さねーの?(肯定してるわりに、落ち着きすぎだろ)」
「もう手遅れでしょ」
「それはどうかな」
「無理だよ。始まってから、何分たってると思ってんの」
「けどさー」
佐倉はあたしに背中を向けたままでいる。