ワンラブ~犬系男子とツンデレ女子~



絶対ワンを選ぶから。



「じゃ、あたし行くよ。ありがと」

「え…どこに?」

「佐倉と一緒で、あたしにもワンしか選べないから」



佐倉の顔をちゃんと見てそう言うと、あたしは片足裸足で歩き出す。



足なんてどうだっていい。



痛くてもいい。



汚れてもいい。



だけど、ワンがいないのはダメ。



他のどんなことでも諦めるから。



ワンだけは諦めちゃダメなんだよ。



そんな簡単なことを、佐倉に言われて初めて気付く。



そーいえば、花火の音が聞こえなくなっていた。



みんなが帰り始める。



花火大会も終了だ。



「はぁ…」



これだけ探しても見つからない。



もしかして、なにかあった?



可能性はなくもない。



会えない訳だ。



さすがに足が疲れ、あたしは近くのベンチに腰を下ろす。



結局花火は見れなかった。



最悪だ。



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