ワンラブ~犬系男子とツンデレ女子~
ただただ、安藤の視線が痛くて。
この沈黙が長くて。
あたしは必死に言葉を探した。
「じ、自分だって、稀衣先輩のこと好きなくせに…!」
言ってすぐ、後悔した。
安藤の動きが、一瞬だけ止まったのを、あたしは見逃さなかったから。
自分が追い込まれたからって、今安藤の好きな人は関係ないのに。
「…ごめん」
…あたし最低。
「別に、事実だから」
安藤はまた、チョコバナナを口に入れた。
その後すぐに、バスケ部のみんなと無事合流。
2人きりからようやく解放された訳だけど。
ホッとしたような、むしろモヤモヤしたような、複雑な感情が胸の辺りにつっかえてるみたいだった。
それから安藤とは、1度も言葉を交わすことはなく。
安藤があたしを見下げることもなかった。
あたしは花火を見上げながら、少し離れた安藤の後ろ頭を見上げていた。