ワンラブ~犬系男子とツンデレ女子~
「オレ、追い掛ける!」
「いいよ」
どうせすぐ、戻ってくると思うし。
いい年して恥ずかしいんだから。
「でもっ」
「ほっときなって」
どうせ、認めてくれない。
いつだってそうだ。
あたしが心配なふりして、なにも認めてはくれない。
「ワンとのことも、反対するに決まってるから」
あたしがなに言っても、無駄なんだから。
「稀衣ちゃんのことが、大事なんだよ」
それは、そうなのかもしれないけど。
「でも…」
「オレも、稀衣ちゃんが大事だよ。だから、稀衣ちゃんのお父さんも大事なんだ」
真面目な顔でワンはそう言うと、あたしに背中を向けて駆けていった。
あたしが大事で、あたしのお父さんも大事なら。
どっちが優先?
そんなバカな質問は、胸の中に閉じ込めた。