ワンラブ~犬系男子とツンデレ女子~
【makoto※side】



あ、いた。



稀衣ちゃんのお父さんは、文化祭用に校内に置かれたベンチに、ちょこんと座っていた。



「隣、いーデスか」



あからさまに元気のない稀衣ちゃんのお父さん。



「…あぁ、どうぞ」



その返事を聞いてから、オレは隣に座った。



「…稀衣はね」



騒がしい校内とは対照的な、お父さんの声。



「稀衣は、僕のたった1つの宝物なんだ」



おじさんが、また難しい事を言っても理解できるよう、オレは耳と脳の神経を研ぎ澄ませる。



「今まで、大事に大事に育ててきたんだ」



稀衣ちゃんは、こんなにも大事にされている。



こんなにも、大事に思ってくれている人がいる。



「だから心配で。側に置いときたくて。どうしようもないんだ」



それがなんだか、自分のことのように嬉しかった。



< 380 / 606 >

この作品をシェア

pagetop