ワンラブ~犬系男子とツンデレ女子~
唇を離すと、目があって。
なんだかお互い恥ずかしくなって、下を向いて笑った。
「結局、あんまりまわれなかったなー」
地上にいる生徒を見下ろしながら、ワンが残念そうに呟く。
「去年より、忙しかったしね」
1年前の文化祭は、たしか白雪姫の劇をやったっけ。
あの頃あたしが転校してきて。
ワンに出会って。
そっか、もう1年たつんだ。
「もう1年たったんだぁ」
…ぷ。
同じこと考えてた。
「早い?」
ワンにとって、あたしと出会ってからの1年はどういうものだっただろう。
「…うーん。早いってゆうか、なんかいっぱいいっぱいだ」
「いっぱいいっぱい?」
「ウン。足りない」
「なにそれ」
「1年なんかじゃ足りないんだ、全然」