ワンラブ~犬系男子とツンデレ女子~
ワンの異変に気付いた。
もしかして足、怪我してる…?
そう思って注意して見ていると、疑いは確信へと変わった。
左足を庇うような、不自然な動き。
しきりに左足を気にしている。
痛いんだ。
「ワン!」
試合の合間、1人体育館から出ていこうとしているワンの背中を呼び止めた。
振り返ったワンの顔を見て、なんだかひどく久しぶりな気がした。
「…足、大丈夫なの?」
ワンは驚いたのか、しばらくなにも言えないようだった。
「え…なんのこと?」
「痛いんでしょ?」
「…痛くないよ」
「もういいよ」
「いいってなにが…」
「勝ち負けなんてどうでもいいよ。痛い思いしてまで、試合なんてでなくても」
見てるこっちが、痛いよ。