ワンラブ~犬系男子とツンデレ女子~
「それじゃダメだ!」
「デートなんて1日だけだし、あたしが我慢すれば」
「それじゃダメなんだよ!」
「ワンは意地になってるだけだよ。そんな足で、安藤になんて勝てないよ」
「別に意地になんかっ…」
そこでワンは言葉を切った。
「?」
「…ただ」
ただ?
目に入ったその拳は、小刻みに震えるほど力が入っていた。
「ただ、オレがイヤなんだよ」
顔を上げたワンは、意地はってすねた子供のようだ。
「ホントは、アイツと稀衣ちゃんが一緒んいるだけでやだ。稀衣ちゃんの前で、負けてカッコ悪いとこ見せんのもやだし。不戦敗とか、もっとやだ」
男のプライドとでもいうのかな。
あたしがなにを言っても無駄だと思った。