ワンラブ~犬系男子とツンデレ女子~
「純平くん、悪いが送ってやってくれないか?」
日が沈みだした頃、オーナーが俺に小声で言った。
「もちろん、構いませんよ」
ということで、俺が先生を送ることとなった。
「いいのよ、送らなくて」
そう言うであろうから、オーナーはわざと聞こえないように言ったのだろう。
「んー」
「だってあなた、仕事中じゃない」
「クリスマスムード全開のこの街を、1人で歩くのはさすがに辛いと思って」
それもさ、婚約破棄の報告をしたすぐ後に。
「…別に平気だわ」
「1人でいる女の人を狙う男共だっている訳だし」
「そんなのに、ノコノコ着いていったりしないわ」
「なら…」
――――“グイッ”
「力付くで、こられたら?」
俺は先生の細い手首を、しっかりと掴んだ。
「っ」
「ほら、振り払えないだろ?」
やっぱり女は男に、力じゃ敵わないんだよな。