ワンラブ~犬系男子とツンデレ女子~



「純平くん、悪いが送ってやってくれないか?」



日が沈みだした頃、オーナーが俺に小声で言った。



「もちろん、構いませんよ」



ということで、俺が先生を送ることとなった。



「いいのよ、送らなくて」



そう言うであろうから、オーナーはわざと聞こえないように言ったのだろう。



「んー」

「だってあなた、仕事中じゃない」

「クリスマスムード全開のこの街を、1人で歩くのはさすがに辛いと思って」



それもさ、婚約破棄の報告をしたすぐ後に。



「…別に平気だわ」

「1人でいる女の人を狙う男共だっている訳だし」

「そんなのに、ノコノコ着いていったりしないわ」

「なら…」



――――“グイッ”



「力付くで、こられたら?」



俺は先生の細い手首を、しっかりと掴んだ。



「っ」

「ほら、振り払えないだろ?」



やっぱり女は男に、力じゃ敵わないんだよな。



< 496 / 606 >

この作品をシェア

pagetop