ワンラブ~犬系男子とツンデレ女子~
――――放課後。
「稀衣ちゃん、帰ろー」
あたしの教室に、ワンがやって来た。
「おい、誰だよ?学校に犬連れてきたのは?」
佐倉は、ワンの首根っこを掴みながら言う。
「誰が犬だよ?!」
「なにお前、今日学校来てたの?」
「ウン」
ワンは今日、昼休み食堂に来なかった。
みんなでお昼を食べるのが、当たり前になっているというのに。
高城に聞いても知らないって言ってたから、少し心配していた。
「稀衣ちゃん、帰ろ?」
「うん」
「純ちゃんは、保健室行くんだろ?」
「は?!」
立ち去ろうとしていた佐倉は、驚いた顔して振り返った。
「なんでそーなんだよ?」
「え、違うの?」
「用もないのに行かねーよ、あんな消毒臭いとこ」(←行く気満々だった)
「そーいえばここ来る時、数人の男子生徒が保健室入ってくの見た!」(←嘘)
「んなこと俺には、全く関係ないね」
「ふーん?」
「関係ないし。全然気にもなんねーし。俺トイレ行くし。じゃーなだし」(←?)
「あ、純ちゃん?!」
佐倉の姿は、あっという間に見えなくなった。
あんな佐倉は珍しくて、だからつい笑ってしまう。
佐倉は保健室の先生が、よっぽど好きなんだろう。