ワンラブ~犬系男子とツンデレ女子~
「こうやって帰るのって、なんか久しぶりだー」
ワンは両手を力一杯広げ、伸びをしながら言った。
「学校も久々だからね」
ワンとこうして並んで歩くのも。
一緒に夕日を見るのも。
2人きりなのも。
全部が久しぶりだ。
「稀衣ちゃんも久々だ」
ワンは、あたしの手を握った。
温かいワンの手が、冷えたあたしの手を包み込む。
ワンの手は、いつも温かい。
「稀衣ちゃんの冷たい手も、久しぶりだ」
「悪かったね、冷たくて」
「いんだ、冷たい方が」
「…なんで?」
「冷えてないと、オレの手のあったかさが分かんないじゃん」
………。
「ぷっ」
「え、オレ変なこと言った?!」
「違うよ。ワンだなって思って」
「え、オレが?なに?」
「んーん。なんでもない」
久しぶりでも。
手が冷たくても。
君だけは、変わらず温かい。