ワンラブ~犬系男子とツンデレ女子~



「……あ」



急にワンが立ち止まる。



「どうしたの?」



その目線は、ずっとずっと先。



???



目線を追うと、そこにはファーストフード店に入る、一組のカップル。



…知り合い?



あたし達より、いくつか年下に見える。



「…いいや、行こ!」



ワンはそのカップルから目をそらし、あたしの手を強く引いた。



「ワン、いいの?」

「ウン。帰ろ」

「うん…」



立ち止まるくらいなのに。



知り合いか何かなんじゃないの?



このまま通りすぎていいの?



「………」



喉まで出かかった言葉を、飲み込んだ。



それ以上ワンは、なにも言わないし。



いちいち聞くのも、面倒臭いと思われそうだし。



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