ワンラブ~犬系男子とツンデレ女子~
「…あ、噂をすればマコ兄」
正くんが、窓から下をのぞきながら言った。
あたしも一緒になって、下をのぞく。
そこには確かに、今来たであろう姿(鞄にマフラー)のワンがいた。
さっきまで正くんが登っていた木の周りには、いくつか花壇があって、ちょっとした緑のある中庭みたいになっている。
「知りたい?」
「え」
「代わりに教えてあげよっか、マコ兄が遅刻してきた理由」
正くんは、イタズラな顔であたしの顔をのぞき込む。
ワンが遅刻してきた理由なんて、あたしがいくら考えても分かる訳がないこと。
ワン本人に聞くよりも、正くんに今ここで聞いた方が早い。
「正くん、ありがと」
だけどそれじゃ、意味がない。
それじゃなにも、変わりはしない。
近づくことだって、できない。
「だけどそれは、あたしが自分でワンに聞かなきゃ」
知りたいことも、知らないことも。
まだまだたくさんあるから。
「…今更だけど稀衣ちゃんってさ、本当にマコ兄でいいの?」
……?
「いや、もっと選びしろあっただろうにって」
「……ぷ。なにそれ」
選びしろ、ね。