【短編】 曇り空
俺の通う高校はバイク通学も認めている
心の広い学園だ


母さんの実家は大金持ち
俺の爺さんと婆さんは
一人娘の母さんと一人孫の俺を援助する事が生きがいだった


おかげで生活には苦労しなかった
だが
バイクだけは自分で手に入れたかった


駐輪コーナーには俺専用の場所がある
指定席は

「おはよ。」

そう同じクラスで親友の西村和史(にしむら かずし)の隣

「おは。」

お互いに低血圧

交わす言葉は少ないが
俺たちはこれで十分通じ合える


「愁、またバイクいじった?」

和史が髪の毛をいじりながら俺に言った

「ああ。ちょっとエンジンを・・・。」

「あそう。やりすぎるとエンジンやられちゃうよ?」

和史は話し方や態度に癖がある
何に対しても上から目線で
自己中心的なわりに人を見る目は確か

でも
俺以外には興味を示していないかのように扱っていた

そんな和史だから
俺は気が合うのかもしれない



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