【短編】 曇り空

昼休み
俺は駐輪場へ向かった

今日は午前中だけでフケる


だって
数学の授業は出なくても合格点が取れる
それに
数学教師の武田のおっさんは
俺を嫌っているのか
まるで俺が透明人間のように扱うから
何も文句は言わない


駐輪場に近づくにつれて
女の声が聞こえてきた




「離してくださいっ！」




必死そうな声


見ると俺のバイクが止めてある数十メートル先で
スーツを着た見たこともない女が
後輩の男どもに囲まれていた

「離してくださいだってｖｖｖ」

「せんせー、ダメだよ？ちゃんと先生らしく言わないとｖ」


遊び人で有名な男ども

あの女は教師？
視線の先の女は明らかに若々しく
俺に言い寄ってくる女たちに比べたら
はるかに清楚感に溢れていた


助けるべきなのか・・・？


「せんせー、性教育してよ！」

男の一人が女の胸元に手を入れようとした

その時
ものすごく凛とした声が響いた

「触ろうとしてんじゃねーよ。」

その場にいた誰もが
一瞬にしてその場に凍りついた

今までヤられそうになっていた女が
胸元に滑り込みそうな男の手を振り払った