鬼守の巫女

「烈様は……とても優しい人だった。強くて情に厚くて皆に慕われていて……誰からも好かれる素晴らしい人だった。彼は当主として生まれた自分の運命を受け入れ、一族の為に、結界の為に生きる事を享受していたんだ」

父は遠い記憶を懐かしむ様に、悲しそうに微笑み語り続ける。

「でもね……君が生まれた時、烈様の考えは変わった」

「……俺が?」

父のその言葉に火伏さんは小さく声を漏らす。

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