鬼守の巫女

「……これ……皇楼の入口にもある……」

そう小さく声を漏らすと、朧源は静かに私を振り返った。

「ここが結界の入口だ。……糺(レイ)、縲(ルイ)」

その朧源の呼び掛けると、二匹は空に向かい遠吠えを始めた。

どこか悲しいその呼び声に反応する様に、扉が次第に淡い光を放ち始める。

すると朧源はその扉に向けて、二つの石を掲げた。

その瞬間、辺りが眩い光に包まれ、そして二つの石が扉の中へと吸い込まれて行く。

するとゴゴゴと鈍い音を立てて、ゆっくりとその扉は開かれた。
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