鬼守の巫女

「……ここが結界の中心……《封鬼の間》だ」

朧源のその言葉と共に、扉の先へと足を踏み入れる。

そして見えた光景に……声を失った。

「……これ……は」

小さく声を漏らし、目の前の光景を茫然と見つめる。

薄暗い広いこの場所の中央には、赤い大きな円が描かれている。

その円の周りには数え切れない程の蝋燭が燈され、その虚ろな光が辺りを仄暗く照らしている。

その光が照らし出す不思議な円の中心には……一人の男が横たわっていた。

銀色の髪に、白い肌。

美しい着物を着たその胸には、鮮やかな宝飾の剣が刺さっている。

それはあの時見夢と全く同じ姿で……この場に確かに存在していた。
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