鬼守の巫女

「……お前は……太陽の様だな」

朧源はそう小さく呟くと、そっと私に背を向けた。

「あまりにも眩し過ぎて……全てを焼き尽くされてしまう様なそんな気がする」

朧源はそれだけ言うと、微かに私を振り向き……困った様に笑った。

「貴方にも見せてあげる。……本物の太陽を」

そう言って彼に手を差し伸べる。

するとその手を朧源は静かに見つめたまま、悲しそうに笑った。

「……行けないさ。そんな資格など……今の私には有りはしない」

朧源がそう呟いたその瞬間、地面が激しい音と共に大きく揺れた。
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