鬼守の巫女
第六十四章 昇る朝日

「……な、何なんだ!?」

火伏さんが取り乱し声を漏らす。

地面は尚も大きく揺れ、地面にピキピキと亀裂が入って行くのが見えた。

「……魏罫」

そう魏戎がそう呟いた次の瞬間、封鬼の間へと続く階段から禍々しいオーラを纏った影が姿を現す。

その影は銀色の長い髪を振り乱し、ユラユラと体を揺らしながら覚束ない足取りでこちらへと向かって来る。

「……結界の鬼か。あのまま朽ちると思っていたが……まだ息があったとはな」

朧源は近付く魏罫を見て、少し驚いた様に目を見開いた。
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