夜空に咲く僕たちの願い
渓斗に嘘をつかれたのは初めてだった。
だから余計に戸惑っているのかもしれない。
この行き場のない気持ちをどうすればいいんだよ。
俺は街の中に消えていく二人を見えなくなるまで見ていた。
そして百々花さんの存在を思い出し、慌てて書店に戻った。
先ほどいた場所に百々花さんが雑誌を読んでいた。
いきなり飛び出した俺に呆れることなく、百々花さんは待っていてくれた。
「百々花さん…」
「びっくりしちゃったよ。いきなり走り出すんだもん。何かあった?」
「…友達だと思ったら人違いだった」
小さく笑って百々花さんを見る。
俺の笑顔に安心したのか、百々花さんも笑ってくれた。
本当ならこう言いたかった。
でもあれは間違いなく渓斗で。
自分の言った言葉がさらに胸を締め付けた。
苦しくて、呼吸困難になって。
周りの賑やかな空間に取り残されるのは、俺だった。