夜空に咲く僕たちの願い
俺と渓斗が離れた途端、事件は起こった。
それは渓斗の周りにクラスの女の子が一斉に集まったからだ。
「え!?」
それはあっという間だった。
たちまち渓斗の席は女の子で埋まっていた。
渓斗の姿が見えない。
「あいつ…大丈夫かよ」
助けに行くべき?
いや、そこまでする必要ないよな…
席に座り頬杖をつきながらしばらくその光景を見ていた。
やっぱり渓斗には悩みはないと思うんだよね。
たぶん瑠花の「薄い眉毛」と同じレベルだろう、きっと。
カバンの中から携帯を出そうとしたとき、あるものに気付いた。
「あ、これ…」
そう、駅のホームで拾った生徒手帳だった。
返さなきゃまずいよな。
これがないと学校証明にならないし…
俺は渓斗の様子を見て、大丈夫だと確認してから教室を出て行った。
隣のクラスの藤原満里奈にこれを渡しに行くため。
でもそこで俺は再びヤキモチ執事に変わる。