誘拐 ―おまえに決めた―
肌が水分を弾く。
「冷たっ」
突然の温度変化に驚き、鳥肌が立つ。
「我慢してよ」
リクが適温を保ったタオルで、私の足を拭いていく。
その冷涼さに慣れると、さすがに気持ちがいい。
「そんなところまでいいよ」
リクは、私の足の指の間まで丁寧にタオルを擦らせる。
「うん」
一言だけ呟いたリクは、私の言葉が耳に入ってるかどうか。
ただ単に私の踝のホクロを見つめている。
気持ち悪い。
なんだろう。