誘拐 ―おまえに決めた―
「俺は施設を選んだ。伯父の知り合いの施設で監視されている生活でも、生きている方がいいと。
悪徳な施設だからな。大体はまともな里親だが、中には碌でもない里親もいる。たとえば、女児をそういう目的のために里子にするような」
リクと目を合わせられない。
「そうだね」
それしか言えない。
リクは知っているのだろう。
その施設にいた女児がどうなるか。
私がどうなっていたのか。
「俺はマイとよく遊んだよ。覚えてる?」
私は曖昧に首を振る。
混濁する記憶の中で、確信がまだ持てない。