誘拐 ―おまえに決めた―
「俺もマイのお婿さんになるって言ってたぞ。相思相愛だな。」
「どうでもいいよ」
何言ってんの?
耳が熱を持つのを感じる。
赤くなっていなければいい。
リクに見られたくない。
私の耳を一瞥してハハと笑いながら、リクは話に戻る。
「同じ男子寮にいたのはクルマだった。マイはクルマとは付き合いがなかったから知らないだろうな。
クルマはずっと男子寮から出なかったし。同室だった俺とクルマはまさに同士だったよ」
「だからクルマと知り合いだったんだ」
私は相槌を打ちながら聞く。