誘拐 ―おまえに決めた―

「だから、俺とマイの逃亡劇はそろそろグランドフィナーレを迎えるわけ。

寂しく、なるな。せっかく会えたのに」


リクは私の両手を、自分の両手で包んだ。



「リク・・・・・・」



私は何も言えない。

自首しないで、私と一緒にいて。

そう言いたかった。

心の奥の奥では。




でも私もまた人を刺した犯罪者で、それは叶わないことを知っているから。

涙が、こぼれる。

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