誘拐 ―おまえに決めた―

私の手に一つキスをして、立ちあがる。



「一生一緒にいてください。幸せにします、絶対」



状況に不釣り合いなほどスタンダードな愛の言葉。


だけど、その言葉が重い。

求めていたその重さとともに、リクの唇が私の唇に降りてきた。




「んっ」


ソフトに当てるだけのキス。


永遠を閉じ込めるように。


「好きだよ、マイ」



目を見つめて私も言う。

「リク、私も」

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