好きです、お兄ちゃん
「お兄ちゃん、だ……」
赤いピアスがよく似合う、蒼也さんだった。
店員さんらしき、エプロンをかけた人と会話している様子。
看板には、「tea ito」と書いてある。紅茶やさんらしい。
この駅ビルに紅茶やさんなんてあったんだ、なんて思いながら、私は蒼也さんが気になって仕方がない。
店員さんをよく見ると、遠くからでも分かる整った顔で、長いストレートの茶髪を横に一つに纏めていて、スタイルも良くて、とても素敵な人だ、と思った。
蒼也さんの彼女さんかな?
気になるー!
「紅茶はお好きですか?」
二人に見入っていた私は、すぐ近くからかけられた声にびっくりして、肩をびくんと揺らした。
そんな私を気遣ってか、またその人が言う。
「あ、すいません。お邪魔でしたか?」
「え、」
横を見ると、男の人が一人、にこやかな笑みを浮かべて立っていた。
黒髪に眼鏡の好青年、って感じ。
あの女の人と同じエプロンを付けている。きっと店員さんだ。
「あ、いえ大丈夫です、」
「なら良かった。紅茶には詳しいんですか?」
「いえ、全然……」
そんな質問に、思わずどもる。
紅茶って言われたって、ダージリンとかアールグレイとかしか知らないよ。