好きです、お兄ちゃん
店員さんはふふふ、なんて笑っている。すごい良い人そうだ。
「今、時間ある?」
「あ、はい。あります」
「じゃあ、少しだけ紅茶について説明しようかな……?」
「えっ、本当ですか?」
「何してんの?」
「ひっ!」
背後からの声に、驚きすぎて跳ねてしまった。
振り向くと、そこには想像通りの人物が。
「お兄ちゃん…!」
「あれっ、もしかして噂の蒼くんの妹さん?全然分からなかった」
「そ。逆に分かったら怖いよ、伊藤さん」
目の前で交わされる会話に、目が白黒する。
伊藤さん、ってことはここは彼のお店なんだ。
噂、って何?
私、そんな変な噂流れてたのかな?
「沙由ちゃん」
「え、はい」
「せっかくだし一緒に帰ろ。じゃあ伊藤さん、お邪魔しました」
「なんのお構いも出来ませんで。沙由ちゃん、また来てね」
「はい!」
笑顔で手を振る伊藤さんに、私は会釈をして、蒼也さんと共にお店を後にした。

